2004年12月11日
裁定としては妥当なのだが。
ムーミン:日本人が登録のドメイン名、フィンランドの会社へ WIPO裁定
裁定自体は予想通りの結果。フィンランドの会社の主張する「登録した男性は法外な料金でこのドメイン名を貸し出し中で、不当な利益を得ようとしている」あたりが、やはり決定的。
ただ、フィンランドの会社にも反省すべき点はある。この男性が取得したのが昨年(2003年)9月のこと。フィンランドの会社は、「なぜ取得しないままでいたのか?」である。「.jp」のような日本のccTLDあたりであれば、世界各国をチェックしていられないので、手が回らなかったと考えられるが、「moomin.com」なんて、真っ先に抑えなくてはならないgTLDである。「誰か取得したらWIPOに訴えて取り返せばいい」くらいの考えでいたのだろうか。このあたりのリスクマネジメントはきちんとすべきである。
これで思い出すのがソニー銀行のドメイン紛争。ソニーが銀行事業を発表してから、ソニー銀行設立までの間に「sonybank.co.jp」を取られてしまったわけである。結果的には、当時の工業所有権仲裁センターに訴えて、取り戻せたわけだが、やはり発表した時点もしくは直後にはドメインを取得しておくべきではなかったろうか。co.jpドメインは仮登記の時点で予約ができるので、設立準備段階でドメインを押さえておくことは十分可能である。もっと言えば、銀行事業を決めた時点でグループ内の別会社にあらかじめ取得させて、計画発表時にはドメインを確保するなどの対策が取れたはずである。
そもそも、基本的に大会社有利と言う面も無きにしも非ずのドメイン紛争。とりわけ「goo.co.jp」訴訟でも分かるように、完全な後出しでも大会社が勝利する日本では、商標管理おけるドメインのマネジメントが明らかに遅れている。もう少し、ドメインマネジメントに目を向けるべきだろう。
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